Blog 01. 星と宇宙
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#001 天の川
はじめに
“「ではみなさんは、そういうふうに川だと云いわれたり、乳の流れたあとだと云われたりしていたこのぼんやりと白いものがほんとうは何かご承知ですか。」先生は、黒板に吊つるした大きな黒い星座の図の、上から下へ白くけぶった銀河帯のようなところを指さしながら、みんなに問いをかけました。”
引用:宮沢賢治「銀河鉄道の夜」
「銀河鉄道の夜」の出だしで、「川」「乳の流れたあと」「ぼんやりと白いもの」「上から下へ白くけぶった銀河帯のようなところ」などと形容されているもの、それが今回の主役「天の川」。
天の川は、英語圏では「milky way」、つまり、日本語で「ミルクの道」「乳のような道」と呼ばれてます。星空界の中で最も有名な言葉の1つ「天の川」の正体を、ご紹介!
Milky Wayの由来
Milky Wayの語源。
それは、ギリシャ神話に由来するみたい。
登場人物は、3人(3神??)。全能の神「ゼウス」、正妻「ヘラ」、そして、ゼウスの浮気相手(アルクメネ)の子ども「ヘラクレス」。
神の世界でも、複雑な人間関係(神関係?)があるみたいで、ゼウスが高い位を授けようとしていたヘラクレスのことを、正妻ヘラは憎んでいたらしい。浮気相手の子どもだからかな。そんなヘラの母乳には、飲んだ者の身体を不死身に変えちゃう特殊な能力があったそう。
そのヘラの母乳を赤子ヘラクレスに飲ませて不死にしたい、と思っていたゼウスは、あるとき、ヘラが眠っている隙に、ヘラクレスにヘラの母乳を吸わせました。
が、、、ヘラクレスの母乳を吸う力が強すぎて、そのあまりの痛さに、ヘラは目覚め、赤ん坊ヘラクレスを突き放してしまった。そのとき飛び散ったヘラの母乳が天に散らばって「ミルクの道」が作られました。
この「ミルクの道(Milky way)」が、みなさんが観ている「天の川」になったんだって。「ミルクの道」の「ミルク」の正体、それは「全能神ゼウスの正妻ヘラの母乳」。
「子ども産んでいないヘラが、なんで母乳出るんだ!!」ってツッコミどころはあるんだけど、それ言っちゃ、ギリシャ神話が崩れちゃう!?
天の川の正体
「ミルクの道」と呼ばれる、天の川。
その存在を知らずに見ると、薄雲かなーって思ってしまうほど、薄くぼんやりと光る「白い道」。その薄く光る「白い道」の正体、それは、な、な、なんと無数の星の集まりー!!
地球は太陽を中心とする太陽系に属してます。その太陽系は「天の川銀河」という銀河に属していて、その銀河の端っこの方にあるんだって。(いったいどうやって観測したんだろ!?)
天の川銀河を真上から見ると、太陽系は上の写真の、白丸の位置あたり。そんな場所に位置しているので、天の川銀河の端っこに位置する地球から星がたくさんある銀河の中心方向(いて座A*の方向)を観ると、天の川銀河の星々が白い雲のような見え方で見えるんだって。
それが、地球から観た「天の川」
そう、天の川は、地球から数千億個の星が集まってできた一つの星の集まり(=銀河の中心)を観たものなんです。天の川の星々は、普段見ている星と比べて距離が桁違いで遠すぎるのでめっちゃ小さい「点」が集まった感じで目は感じるので、雲っぽく見えます。
織姫星と彦星の物語
天の川といえば、七夕を連想する人も多いのではないでしょうか。願い事を笹に飾る行事として知られる、七夕。
ここでは、ちょっと織姫星と彦星のお話をご紹介。
“昔々、天の川の東に、織物を織るのがとても上手な織女(織姫)がいました。しかし織姫は年頃になって化粧もせず遊びにも行かず織物ばかりを織り続けるので、織姫の父である天帝は不憫に思い、婿探しを始めます。
古代中国の七夕節
一方その頃、天の川の西には真面目に働く牛飼いの青年、牽牛(彦星)がいました。天帝は彦星の噂を聞きつけ、「娘(織姫)とぜひ結婚してくれ」と願い出ました。彦星はその話を有り難く引き受け、2人は結婚することになったのです。
ところが、織姫と彦星は結婚後、ますます互いに惹かれ合う様になりました。織物に勤しむしか知らない織姫、牛追いしか知らない彦星と、これまで全く恋愛とは無縁だった2人。
結婚後の織姫と彦星は働くのも忘れ、天の川のほとりで毎日おしゃべりに明け暮れる様になってしまったのです。天帝が働くように言っても全く聞く耳を持たず、お互いしか目に映らなくなってしまった織姫と彦星。この堕落ぶりが、天帝の逆鱗に触れてしまいます。
すっかり働かなくなった織姫(織女)と彦星(牽牛)に怒った天帝は、彦星を天の川の西側に引き戻してしまいました。彦星と会えなくなったことで悲しみに暮れ、泣き続けるばかりの織姫。もはや元の様に機を織る気力すらありません。あまりに不憫に思ったのと、これでは本末転倒ということで、天帝はある条件を2人に出しました。
「織姫と彦星が、結婚する前の様に一生懸命働くこと。」こうして本来の勤勉さを取り戻した織姫と彦星は、7月7日の七夕の日、年に1回だけ会うことが許されたのです。”
これが、織姫と彦星の話の真実。
2人は怠け者になってしまったので、別れさせられてしまったみたい。そして、天帝との約束を守ることを条件に、年1回会えるようになったんだって。知らなかった。
ここにも色々不思議なことがあって、彦星(わし座のアルタイル)と織姫星(こと座のベガ)は、その距離・15 – 16光年。いったいどうやって1年に1回会うんだろ。ワープ?